0708年青木歯科日誌                     高知市青木歯科TOP

08/12/19金曜日

 「特別な才能があるわけではない人間は、正気で生きているだけでほめられてよい」(週刊文春のコラム)は、今年最も気になった言葉でした。しかし、かんがえてみると「正気で生きる」ことはなかなかむずかしい。生きている時代そのものが狂気をはらんでいることもあるし、人の想念は時代の影響を受けざるを得ないのだから。しかし、世間と没交渉に一人でいると、思考は自家中毒をおこして畸形の妄想にとりつかれてしまう。

 経済の歴史は常に「バブル形成とその崩壊の繰り返し」であるともいえます。ふりかえればホリエモンや六本木ヒルズがテレビ画面をにぎわしていたころが今回のバブルの頂点でした。その余韻もきえないうちに、百年に一度の信用の津波"once-in-a-century credit tsunami"グリーンスパン)がおしよせ、就職内定とりけしや派遣切りなどの混乱がおきています。

08/12/14日曜日

 歯科医になった頃よんだ歯周外科の本に「解剖学の知識を常に改訂せよ」とあり、おもいだすと解剖の教科書をよむようにしています。しかし、臨床では変則的な歯並びであることを頭にいれておく必要があるケースがすくなくありません。数年前に根管治療した歯が腫れてきたためフラップをあけてみると(根尖切除術)、根の先が骨の外に出ている状態でした(フェネストレーション)。歯は内方に傾斜している場合、根は外側(頬側)になるのは当然といえば当然です。通常の根の治療でなおらない原因のひとつはフェネストレーションだといわれており、上顎犬歯では30%もあるといわれています。このレントゲン写真をアップしました。

解剖学の知識を絶えず改訂せよ。損傷や疾患と関連づけながら局所解剖を考えよ。いかに手術野が小さくても、手術部および隣接領域の構造を脳裏にはっきりと描かない限りメスを取るなかれ」(Helslop

 08/12/07日曜日

 歯周病菌が動脈硬化の原因になっているといわれていますが、逆に動脈硬化が歯周病の原因であるとの説をとなえていたのが九州歯科大学病理学教室の浦郷教授でした。動脈硬化によって動脈の内径がちいさくなり歯肉の血流がわるくなるのが歯周病(歯槽膿漏)の原因であるという学説です。動脈硬化による病気でこわいのは脳梗塞と心筋梗塞です。医科歯科大学病院へ検査入院中に脳梗塞におそわれた栗本慎一郎が動脈硬化に有効だとしているクリールペール(ルンプロキナーゼ)を飲むと歯茎もよくなるといっています。浦郷学説からすると当然かもしれません。「動脈硬化症の発症に関与する危険因子としては年齢、性、遺伝の不変動因子のほか、高脂血症、高血圧症、喫煙、糖尿病などが挙げられる」『口腔所組織の加齢変化』浦郷篤史

08/11/15土曜日

 竜王戦は羽生名人が三連勝し、永世竜王(永世七冠)まであと一勝としましたが、この棋譜がインターネットで中継されています。名人戦は有料ですが、竜王戦は無料。おいこまれた渡辺竜王のプログも面白い。インターネットは世界を変えました。変わらないのは人間そのもの。今のブームはオバマ次期大統領で人気は一種のバブル状態。

※その後、なんと渡辺竜王が四連勝し、将棋のタイトル戦で初めてという大逆転でタイトルを防衛しました。鋭い攻めが印象的でした。

08/10/05日曜日

ビスフォスフォネート系薬剤を注射または服用している場合、抜歯などの歯科治療で骨壊死がおきる可能性があると警告が出ています。経口投与の場合は、可能性は低いようですが、半減期がながいため、長期に服用している場合はしばらく抜歯などの歯科治療ができなくなることも考えられます。安易な服用は将来に禍根を残すかもしれません。

08/09/15月曜日

 世界の水準から取り残されていた日本の歯科医療は、昭和30年代のはじめに米国に留学した歯科医師によってレベルをあげてきました。その中の一人森克栄先生は1980年に出版された「根管治療とその周辺」にこう書いています「私の臨床では、根管治療に関し再治療の症例があまりにも多く、なんともやりきれない毎日である、さらに執筆者から寄せられた症例をみても再治療を要した症例が多いことから、むしろ医原性疾患を予防する視点で企画しなおしたほうが社会的には効果があるのではないかと迷った」。当時からみれば日本の根管治療もずいぶん良くなりましたが、今なお再治療は少なくありません。米国の技術水準は自動車など凋落した分野もありますが、歯科医療は今も世界最高水準にあります。日本の歯科医療との格差はたぶん医療制度の違いに由来していると思います。

08/09/12金曜日

 和田精密がイタリア製のインプラント関連機器ビエゾサージェリーを輸入販売するという。いま歯科で唯一活況を呈しているのがインプラント関係という状況になっています。最近初診で来院される患者さんに、HPを見たとおっしゃられる方が多くなってきました。ご高齢の患者さんを除くときわめて高い確率になります。インターネットが世界を変えているのは想像以上であることを実感しています。

 週刊新潮連載の福田和也「闘う時評」で渡辺利夫著「新 脱亜論」梅棹忠夫「文明の生態史観」が引用されて事を知り、冨士書房に電話して持ってきてもらいました。以下引用

宮沢喜一内閣の時期のことである。アジア太平洋問題に関する首相の私的懇談会が設置され、私も委員の一人に指名された。第一回の懇談会のゲストスピーカーとして梅棹忠夫が出席した。「日本が大陸アジアと付き合ってろくなことはない、というのが私の今日の話の結論です」と話をきり出して、委員全員が呆気に取られるというシチュエーションを私は鮮烈に記憶している。

08/07/19土曜日

 キッシンジャーが「日本人の‘歯の汚さ’‘タバコ臭さ’‘スマイルの悪さ’が目につきどうにも我慢できない」といったという話があります。いろいろなバリエーションがあるようですが、歯が外交交渉や商談の妨げになっているとしたら、歯科医の責任は重大です。国益を損ねるような口は日本の歯科医の治療の結果なのですから。

08/07/12土曜日

 先週の週刊文春の病院情報ファイルに「ネットでキーワード検索をしたとき、上位に表示される施設はネットだけ名医であることも少なくない。情報収集は目立つところに飛びつかず、広く読み比べて判断を」とありました。ごもっとも。

 保険の根の治療では40%しか治らない?道具が根の先まで入れば80%治るといったのはいいすぎだったか?

しかし、40%ということはないと思いますがねえ。道具が根の先まで入る確率が50%なら50×0.8で40%ということになりますけれど。

08/07/04金曜日

 保存治療を更新しました。歯ぐきにできた膿の出口が原因の根から大きく離れたところにあった根の治療(根管治療)のケースを追加しました。

 米国留学前にホワイトニングをした患者さんが帰国し、再度ホワイトニングをしたいとのことで来院。アメリカでは誰もがやっているとのこと。「アメリカでは歯がステイタスですからねえ」と申し上げると、向こうでも同じことを言われたとのこと。

 30年ぐらい前の20代のとき以来という患者さん。奥歯が痛いとのこと。歯が磨り減って上下の奥歯が隙間なく噛んでいました。虫歯や歯周病は軽度にもかかわらずほとんど全部の奥歯が痛いので咬合性外傷だと診断。ナイトガードをいれると眠れそうにないとのことでしたので、メイハンの食いしばりをなくす方法の指導と上下の奥歯にゆとりを持たせる咬合調整。

 最後は右上と左下の親知らずが伸びだし、強く当たって痛くなっている患者さん。抜歯を忌避されたので削合で対応。そのうち、といっても年単位ですが伸びだして同じことになるとは説明しましたが。

 虫歯、歯周病が歯科の二大疾患ですが、異常な力が歯にかかるために歯が痛くなっている咬合性外傷も増えています。

 08/07/02水曜日

 コンビネーションシンドロームを取り上げた論文を読んで、野村克也監督が「敵はわれにあり」などに書いてあることを連想しました。「観察・分析し、原因を究明する。そして対策を考え実行する」すべてはこの繰り返し。どの道も同じことだと。

08/07/01火曜日

 コンビネーションシンドローム(すれ違い咬合)で噛めなくなって困っておられる患者さんにしばしば出会います。下顎前歯のみが残り顔貌を破壊するに至るまでの過程は、「虫歯が原因で下顎第一大臼歯を失う→ブリッジや義歯で汚れやすく強い力がかかる第二大臼歯や小臼歯が抜歯となり奥歯同士の噛み合わせがなくなる(義歯を入れなくても歯を失った分強い力がかかり駄目になる)→下顎前歯が上顎前歯を突き上げ上顎前歯が動揺し始め抜歯になる→最後まで残った下顎前歯が上の入れ歯を突き上げ上あごが破壊される」というのが一般的です。

つまり、6歳で生えてくる第一大臼歯は虫歯になりやすく、これが失われると残りの歯に過剰な力がかかりやがては口腔(こうくう)全体を破壊してしまうというわけです。コンビネーションシンドロームを防ぐためには6歳臼歯の齲蝕予防が肝要ということになります。もし第一大臼歯が抜歯になれば前後の歯に負担のかからないインプラントを入れるのがコンビネーションシンドロームに至るプロセスをストップする最良の手段となります。現在でも、ブリッジで補綴(ほてつ)するのが一般的ですが。

08/06/04水曜日

 昔からの患者さんから「先生のところの治療は一日で終わるが、先日テレビでやっていた3Mix-MPをやっているのでしょうか?やっているのなら東京のお友達を紹介したい・・・」との電話。「うちではやっていません。小さな虫歯は一日で終わりますが、根の治療が必要な場合には一日ではできません」と答えましたが、「一日でできるかどうか一度見てもらいたい」ということで、来週おいでになることになりました。

08/05/23金曜日

 一橋大学教授の井伊雅子さんが、日本の歯科医療の問題点として()予防が保険適用できないこと()保険の歯科治療費が先進国平均価格の4分の1から約10分の1という大変低い料金に設定されているため、(一人当たりの)診療時間はみじかくなり、診療の質が低いことの二つをあげています。「対人口比で明らかに歯科医師は過剰なのですが、高い技術を十分に時間をかけて患者に提供してくれる歯科医師を探すのは大変難しい」とも。そして、ワシントンDCに住んでいたときに通院していた歯科医師に「最先端の歯科技術は日本が世界一だと思うが、患者として接する日本人の歯の状態は本当にひどい人たちがほとんどだ。一般の人たちはなぜ日本の高い技術の恩恵をほとんど受けていないのだろうか」とたずねられたというエピソードを紹介しています。(日本歯科医師会雑誌五月号)

歯科医にとって日本の歯科の保険医療のレベルが低いことは常識なので、日本歯科医師会雑誌でこのような指摘があっても少しも驚かないし、私も含め日本の歯科医師は誰も自分はヤブだと思っていないところに日本の歯科医療の問題解決の難しさがあるように思います。保険では歯並びを治すことや小臼歯に白い歯を入れることはできません。その結果「朱に交われば赤くなる」のたとえどおり、日本では笑った口に銀色の金属が見えても違和感はなく、有名人が銀歯を光らせて高級時計のローレックスのコマーシャルをするといった無様な現象がときどき見られます。テレビで八重歯や銀の補綴物を見ることは少なくなりましたが、まだ時々見かけます。

井伊教授のご指摘は、一般の新聞雑誌に発表され国民皆が知るべきことなのでしょう。しかしながら、日本の歯科医療の問題点は医療保険制度と直結しているため、根本的な解決はなかなか難しいのが現実です。自費治療の一部を保険で給付されるのは金属床の総義歯(選定療養)のみです。セラミックの冠をいれるとき保険で認められているのは根の治療までで、土台、形成、印象、装着は一切保険で請求できません。インプラントや矯正はすべて自費になります。「安かろう、悪かろう」の保険歯科医療と「高い自費治療」の並存する歯科医療がもうしばらく続いていくだろうとおもいます。根管治療の実態に厳しいことがかかれています。

08/05/11日曜日

 医療安全対策講習会に出席。歯科医療を取り巻く社会的環境もどんどん変わってきました。

08/05/06火曜日

 桂浜にある坂本竜馬記念館に初めて行きました。連休最終日のためか意外にも混んでおらず、展示をゆっくりと見ることができました。屋上にでると、心地よい風に吹かれながら、空の青さを映した海と山の新緑で気が晴れます。

08/04/27日曜日

 立川談春「赤めだか」。近年これほど面白い本を読んだことがありません。前座時代、新聞配達でデイリースポーツを入れるべきところに株式新聞を配達してしまった時の言い訳に大笑いし、真打になる仕掛けをした際の、師匠の談志と柳家小さんとのやり取りにしんみりさせられる。そして、修行時代、一人前になる時、弟子を取る時という人生の各々の段階での心得まで学べるいいホンです。

立川談志は朝起きると30分近くかけ、10種類もの道具を用いて歯と舌を清掃するというのには驚きました。噺家にとって歯を失うことは噺家生命の終わりを意味します。空気が漏れてうまくしゃべれませんから。談志が歯の手入れに時間をかけているのは一種のプロ意識か?

08/04/20日曜日

 歯科治療は痛いというのが大きなネックになってきました。無痛治療のためには局所麻酔が行われていますが、これがまた痛くては何のための麻酔かわからなくなってきます。麻酔を無痛的に行うにはいくつかのコツがあります。()表面麻酔剤を使う()痛点の少ない部分を選択して刺入する()できるだけ小さな針を使う=最近は33Gという極細の針も登場しました()粘膜をかぶせるように刺入する()息を吐くときに刺入するなどです。これらを注意深く行うことでほとんど痛みなく麻酔を行うことが可能です。

 季刊高知28号の風聞異説(松岡周平)に宇井純さんのことが載っていました。1971年高知大を卒業し浪人していたとき、朝バイクで予備校に向かう途中、旭(今のサティの前)の電車通りが水浸しになっているのを見ました。それは、当時そこにあったパルプ工場の排水口に生コンを入れた事件でした。当時の江の口川や浦戸湾のヘドロのひどさを知っていたので事件を起こした人々に「ようやった」という感想をもったと記憶しています。翌年から北九州、京都と9年間高知を離れ、1981年に高知に帰ったときには、工場はなくなり悪臭を放っていた江の口川はずいぶんきれいになっていました。今、中国の川の汚染がひどいようです。当時の日本では公害対策よりも経済成長だという今の中国と似たような状況でした。30年前、公害に立ち向かった人々がいなければ、江の口川も汚れた川のままだったかもしれません。季刊高知の記事を読んで当時のことを思い出しました。松岡さんの記事の最後に吉田松陰の和歌がのっていました。

かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ倭だましい

やむにやまれず義挙にでるのは何も日本人に限らないでしょうし、日本人の中でもごく一部の人だけだと思います。しかしながらそのような勇気を持った人が世界をよくしていることは確かだと思います。

08/04/16水曜日

 医は生涯の業にして、とても上手名人にはいたらざるものと見ゆ。己れ上手と思わば、はや下手になるの兆しと知るべし 杉田玄白『形影夜話』 谷沢永一の『百言百話』の中にありました。

07/07/05木曜日

 先日NHKプロフェッショナル 仕事の流儀」に登場した幕内雅敏先生は演歌を聞きながら手術をするという。13時間にも及ぶ肝臓癌の手術で99個もの腫瘍を取っていたが、人間業とは思えない。36524時間医師であれというのも常人ではとてもまねのできないことです。ただ、プロフェッショナルとは問われて「常に細心の注意を払って仕事をして、経験から得た教訓を忘れないで、そして常に新しい工夫をするということをおこたらない」とこたえています。せめてこの言葉を忘れないで仕事をしなければと思いました。

07/06/18月曜日

 昨日インプラントの講演会に行きました。県外からの参加者も含めて80名ほどの参加者だったとのことでした。抜歯と同時にインプラントを挿入するテクニックの第一人者と評判の林揚春先生が講師でした。患者さんの肉体的負担の少ないインプラントであり、大変勉強になりました。誘っていただいた六泉寺歯科の松岡先生に感謝です。

07/06/13水曜日

 今月の写真を更新しました。10年前、T先生から紹介された交通事故で前歯を失った患者さんです。インプラントができないかということでしたが、歯牙移植を選択したケースです。

07/05/20日曜日

 昨夜テレビでやっていた「戦場のピアニスト」を見ました。公開されたときは、またかという気がして見なかったのですが、いい映画でした。隠れ住んでいたのを見つけられたドイツ人将校の前で、ショパンのバラードを弾く場面から後の部分は実に感動的。ドイツ人将校ホーゼンフェルト役の俳優Thomas Kretschmannは18歳で東ドイツから西ドイツに単身亡命したとか、ピアニストのスピルマンの自伝はポーランドで発禁だったという情報は、借りてきたDVDで知りました。本も読んでみようと思っています。

07/05/11金曜日

 高知新聞に、高齢になるまで歯を残した人が寝たきりになると自分で清掃できなくなり、根っこだけになってそこが細菌の入り口になっている場合が少なくないと載っていました。歯周病菌が血液中に入ると動脈硬化の原因になるといわれて久しくなります。

07/03/03土曜日

開業間もない頃、疑惑の銃弾という記事が週刊文春に掲載され、日本中が大騒ぎになったことがありました。忘れられないのは、ロス郊外で発見された遺体を白石千鶴子さんであると断定する根拠となった歯のレントゲン所見。治療されたすべての歯がIncomplete Endodontics (不完全な根の治療)とされていた。当時は日本に近代歯科医療が導入され始めてから日が浅く、根の先端に膿の袋のできている歯が多かったことは確かです。それにしてもたくさんの歯に根の治療をしてあり、そのすべてがIncompleteとされていたのは日本の歯科医として恥ずかしい限りでした。

米国の専門医で一番人気のあるのがEndodontist(根の治療の専門医)だという記事を数年前に読んだことがあります。歯の保存に欠かせない根の治療は米国では一本7万円ぐらいするようです。日本の保険治療費の10倍ぐらいです。高額な治療費の出せない人は抜歯して取り外しの入れ歯にするのが米国の歯科事情。日本では安かろう悪かろうで、Incomplete Endodonticsのオンパレード?家賃10万円の部屋と1万円の部屋が同じだとは誰も思わないでしょうけれど…。何につけても、自分の置かれた環境から離れて合理的に考えるのは難しいものだと思います。

※週刊朝日に歯の治療の所見が載っていました。

06/12/27水曜日

歯の少なくなった上顎の入れ歯は、口蓋を覆ったDの字の形になるのが普通ですが、土佐弁で言えば「のうが悪い」ようです。隣県で口蓋を覆った金属床の部分義歯を入れておられた患者さん、食事のときだけしか入れていないとおっしゃられていました。そこで口蓋をくりぬき、下顎義歯と同じCの字の入れ歯にしたところ大変喜こんでいただけました。先日も、総義歯タイプのオーバーデンチャーにしていましたが、やはり装着感の難を訴えられましたので、口蓋を抜いたところ、装着感が全く違うと喜ばれました。装着感が良く、味が良くわかり、話しやすい上顎のCの字義歯(無口蓋義歯)を来年のメインテーマにしようと思います。

今年の診療は本日で終了しました。陰に日向に、当院を支えていただいた皆様方に御礼申し上げます。来年もよろしくお願いいたします。皆様のご健勝をお祈り申し上げます。

06/12/10日曜日

昨夜、歯科医師会の褒章受賞記念パーティを早めに抜け出し「硫黄島からの手紙」を観にいきました。2005年の硫黄島の映像から静かに始まり、1945年の硫黄島に映像が変わる。戦争映画に良くあるような怒鳴りまくる場面のすくない、いわば戦争映画らしくない映画でした。二宮和也演ずる下級兵士の演技が切実感を出しており、当時の史実をもっと知りたいと思わせます。私達にとって理解しにくいのは、陣地を守れなかったから自決するというシーン。栗林が命令したように、残った兵は別の部隊に合流して戦いを継続するほうがずっと良いと思われるのだが。

この戦いがあったのは、わずか六十年前、私の生まれる4年前である。その後の平和な時代を生きてきたものにとっては自分の幸運に感謝せざるをえないし、そういう日本の礎になり命を落とした先人達に感謝せざるをえないと感じさせる映画でした。戦争映画では日本人とドイツ人は常に異常でエキセントリックな悪役に仕立てられてきましたが、イーストウッドは全く公平に描いており、娯楽の要素は全くありませんが、ぜひ見るべき映画だと思います。観客は007より多かった。硫黄島の原案者と007の脚本家はいずれもポール・ハギスだということです。

06/11/21火曜日

保存治療の中の歯周治療について更新しました。4月の点数改定で、歯周治療の保険のルールが大きく変わり、4年前に導入されたメインテナンス治療がばっさり切り捨てられました。歯周病に対する抵抗性の弱い人が人口の7%存在すると言う疫学的なデータがあり、その人たちの歯周病の進行を止めるには一ヶ月に一度の根面の清掃が欠かせないというのが歯周治療の常識になっています。メインテナンスが認められていた4月まで、当院でも数十人のメインテナンス治療をおこなっており、その間大いなる効果を実感していたのですが、残念ながら3ヶ月に一度程度になってしまいました。やはり油断が出て家庭療法がおろそかになり、歯肉の炎症が再発していることがよくみられます。保険財政の健全化が大義名分ではありますが、これも医療切捨てのひとつだと思います。

06/11/19日曜日

東京国際マラソンで優勝した土佐礼子さん(30)のインタビューを見ていると矯正装置が入っていました。最近スポーツ選手もやっと矯正をし始めた。オリンピックでメダルを取った日本人のインタビューを見るたびに歯並びを治したらいいのにと思ってきましたのでいい傾向だと思っています。

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